夏井銀児とは?朝ドラ『ブラッサム』のモデルは洋画家・東郷青児|演じるのは錦戸亮

ブラッサム

2026年9月28日に放送が始まったNHK連続テレビ小説『ブラッサム』。放送開始4日前の9月24日に発表された新しい登場人物が、主人公・葉野珠の取材相手として現れる画家・夏井銀児(なつい ぎんじ)です。演じるのは錦戸亮さんで、NHKの制作統括は、夏井のモデルが洋画家の東郷青児だと明かしています。この記事では、夏井銀児がどんな人物なのか、モデルの東郷青児とはどんな画家だったのか、そして珠のモデルである作家・宇野千代との関係までを、NHKの公式発表と美術館・公的機関の資料をもとに整理します。2026年9月28日時点の情報です。

夏井銀児とは?朝ドラ『ブラッサム』の登場人物

夏井銀児は、NHKが2026年9月24日に「【新キャスト】画家・夏井銀児役に錦戸亮さん」として発表した登場人物です。公式の役柄紹介は次のとおりです。

「常識に縛られない生き方で、世間の注目を集める洋画家。」(出典:NHK『ブラッサム』公式トピックス)

項目 内容
役名 夏井銀児(なつい ぎんじ)
職業 画家(洋画家)
珠との関係 主人公・珠の取材相手として現れ、珠と深く関わることになる
モデル 洋画家・東郷青児(制作統括のコメントによる)
演じる俳優 錦戸亮さん(連続テレビ小説は『てるてる家族』以来)
発表日 2026年9月24日

(出典:NHK『ブラッサム』公式トピックス)

夏井銀児の役どころ|珠を翻弄する画家

NHKの発表によると、夏井銀児は「主人公・珠の取材相手として現れ、珠と深く関わることになる画家」です。制作統括の村山峻平さんは、珠と銀児の関係を次のように説明しています。

「珠は銀児に翻弄されながらも、その出会いによって、表現者・葉野珠として新たな手がかりをつかむことになります。」(出典:NHK『ブラッサム』公式トピックス)

同じコメントで村山さんは、錦戸さんについて「錦戸さんが時折見せる空虚なまなざしと、ふと漏らす笑い声が、その存在をよりミステリアスに感じさせます。」とも述べています。珠が作家として取材に訪れた相手に振り回されながら、自分の表現を見つけていく、という流れが、公式から示されている範囲の役どころです。

夏井銀児のモデルは洋画家・東郷青児

夏井銀児のモデルについて、制作統括の村山峻平さんは「夏井のモデルは、日本の洋画家・東郷青児さんです。」と明言しています(出典:NHK『ブラッサム』公式トピックス)。

『ブラッサム』の主人公・葉野珠のモデルは作家の宇野千代です。宇野千代は実際に、取材をきっかけに東郷青児と出会い、暮らしをともにしました(後述)。「取材相手として現れ、珠と深く関わる」という夏井銀児の設定は、この史実を下敷きにしたものと考えられます。ただし、ドラマはモデルの人生をそのままなぞるものではなく、役名も人物像も創作です。以下の東郷青児の経歴は、あくまでモデルになった実在の人物の史実として読んでください。

東郷青児とはどんな人物?

項目 内容
名前 東郷青児(とうごう せいじ)/本名:鉄春
生年月日 1897年(明治30年)4月28日
没年月日 1978年(昭和53年)4月25日(熊本で死去)
出身 鹿児島市生まれ。幼年時代に上京
所属 二科会(1961年に会長)、日本芸術院会員(1960年)
代表作 《パラソルさせる女》(1916年)、《ピエロ》(1926年)、《超現実派の散歩》(1929年)、《黒い手袋》(1933年)、《望郷》(1959年)、《タッシリ》(1974年)

(出典:東京文化財研究所 東文研アーカイブデータベース/SOMPO美術館「東郷青児」)

19歳で二科賞、7年のフランス滞在

東郷青児は1897年、鹿児島市の旧島津藩士の家に生まれ、幼いころに上京しました。1916年(大正5年)、第3回二科展に出品した《パラソルさせる女》が初入選で二科賞を受け、画壇に登場します(出典:東京文化財研究所)。SOMPO美術館は、この作品を「日本美術界で最初期の前衛絵画とみなされています」と紹介しています。

1921年(大正10年)には第一次大戦後のフランスに留学し、1928年(昭和3年)に帰国しました。SOMPO美術館は「24歳から7年にわたるフランス滞在」で、ピカソから独自のスタイルを貫く姿勢を学んだと説明しています(出典:東京文化財研究所/SOMPO美術館)。

「青児美人」と呼ばれた女性像

東郷青児の名を広めたのは、なめらかな筆づかいで描いた優美な女性像です。SOMPO美術館は代表作《望郷》(1959年)について、「「青児美人」とうたわれた甘美な女性と抒情性が「通俗」とも呼ばれましたが、好き嫌いは別にして、記憶に残る「東郷様式」の代表作です。」と解説しています。《望郷》は日本国際美術展で、一般入場者の投票による「大衆賞」を受けました(出典:SOMPO美術館)。絵画にとどまらず、本の装幀や挿絵、お菓子のパッケージといった商業デザインも手がけています(出典:SOMPO美術館「生誕130年 東郷青児展」)。

二科会を再建し、会長に

戦後の1945年、東郷は戦時中に解散させられていた二科会の再建に力を尽くしました。1957年に壁画「創生の歌」で日本芸術院賞を受け、1960年に日本芸術院会員、1961年に二科会会長に就任しています(出典:東京文化財研究所)。SOMPO美術館の年譜では、1969年にフランス政府から芸術文化勲章、1976年に勲二等旭日重光章を受け、1978年4月25日に熊本で亡くなったとされています(出典:SOMPO美術館)。

東郷青児と宇野千代|取材から始まった暮らしと『色ざんげ』

『ブラッサム』の珠のモデル・宇野千代と東郷青児は、同じ1897年(明治30年)生まれです。宇野千代の出身地・山口県岩国市の公式サイトは、二人の出会いを次のように紹介しています。

「その昭和5年(1930)、千代は取材で画家・東郷青児と出会いました。」(出典:岩国市「宇野千代 -岩国の旅-」)

取材の相手は、心中未遂事件を起こしていた東郷でした(事件は前年の1929年。出典:新潮社『色ざんげ』)。岩国市の公式サイトによると、千代は「その日からともに暮らすことになりました」。東郷との生活は3年ほどでしたが、千代は後に「二番目に好きだったのは東郷青児です」と答えています(出典:岩国市「宇野千代 -岩国の旅-」)。

この暮らしから生まれたのが、宇野千代の初期の代表作『色ざんげ』です。国立国会図書館の「近代日本人の肖像」は、宇野千代について「昭和5(1930)年東郷青児と同棲し、恋愛冒険小説『色ざんげ』(1933-35)を発表。」と記しています(出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」)。新潮社の書籍ページは、『色ざんげ』を「その生活のなかで東郷から聞き取った心中未遂事件の話をもとにした小説」で、1933年から1935年にかけて「中央公論」に連載されたと説明しています。宇野千代自身はこの作品を「私の書いたものの中で、一番面白い」と評しました(出典:新潮社『色ざんげ』)。

ドラマの夏井銀児が珠の「取材相手」として登場し、珠が「表現者・葉野珠として新たな手がかりをつかむ」とされているのは、こうした史実と重なります。

宇野千代と東郷青児の年表

年 東郷青児 宇野千代
1897年(明治30年) 4月28日、鹿児島市に生まれる 11月28日、山口県に生まれる
1916年(大正5年) 《パラソルさせる女》で二科賞 ―
1921年(大正10年) フランスへ留学 『時事新報』の懸賞小説に当選。上京し尾崎士郎と同棲
1928年(昭和3年) フランスから帰国 ―
1930年(昭和5年) 宇野千代と出会い、ともに暮らし始める 尾崎士郎と離婚。取材で東郷青児と出会う
1933~1935年 ― 『色ざんげ』を「中央公論」に連載
1961年(昭和36年) 二科会会長に就任 ―
1976年(昭和51年) 東郷青児美術館が開館 ―
1978年(昭和53年) 4月25日、死去 ―
1982~1983年 ― 自伝『生きて行く私』
1996年(平成8年) ― 6月10日、死去

(出典:東京文化財研究所/国立国会図書館「近代日本人の肖像」/岩国市「宇野千代 -岩国の旅-」/SOMPO美術館「沿革」)

『ブラッサム』第1回のあらすじでは、昭和57年の珠が青山の書斎で新聞連載「生きて行く私」を執筆しています。宇野千代の自伝と同じ題名です(出典:NHK『ブラッサム』番組公式ページ)。また、宇野千代の前の夫・尾崎士郎は、『ブラッサム』では小説家・西尾一路のモデルになっています。

東郷青児の作品を見られる美術館

東郷青児の作品をまとめて所蔵しているのが、東京・新宿のSOMPO美術館です。1976年7月、東郷の協力を得て安田火災海上(現・損保ジャパン)本社ビル42階に「東郷青児美術館」として開館し、館名の変更を経て2020年4月から「SOMPO美術館」になりました(出典:SOMPO美術館「沿革」)。1978年に東郷が亡くなった際に遺族から作品の寄贈を受け、現在は初期から晩年までの油絵約70点を含む約240点の作品と資料を収蔵しています(出典:SOMPO美術館)。

同館は「生誕130年 東郷青児展」を2027年1月9日(土)から2月21日(日)まで開催すると予告しています。《望郷》などの代表作を含む約100点の絵画と、約100点の関連資料を展示する予定で、同館は「過去最大級」としています(出典:SOMPO美術館「生誕130年 東郷青児展」)。『ブラッサム』の放送期間中に開かれる展覧会です。

夏井銀児を演じるのは錦戸亮さん

夏井銀児を演じる錦戸亮(にしきど りょう)さんにとって、連続テレビ小説への出演は2003年度放送の『てるてる家族』以来2作目です。本人は出演にあたって次のようにコメントしています。

「2003年度放送の『てるてる家族』以来、23年ぶりに朝ドラに出演させていただくことになりました。今回演じるのは夏井銀児という、自由でどこか掴みどころのない人物です。」(出典:NHK『ブラッサム』公式トピックス)

制作統括の村山さんは、『ブラッサム』が大阪放送局制作の50作目で、関西出身の出演者が多く参加していること、錦戸さんもその一人であることにも触れています(出典:NHK『ブラッサム』公式トピックス)。

まとめ

朝ドラ『ブラッサム』の夏井銀児は、「常識に縛られない生き方で、世間の注目を集める洋画家」で、主人公・珠の取材相手として現れ、珠と深く関わっていく人物です。モデルは、「青児美人」と呼ばれた女性像で知られ、二科会会長も務めた洋画家・東郷青児。珠のモデル・宇野千代は1930年に取材で東郷と出会って3年ほど暮らしをともにし、その日々から小説『色ざんげ』が生まれました。夏井銀児は錦戸亮さんが演じ、錦戸さんにとっては『てるてる家族』以来23年ぶりの朝ドラ出演になります。

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主な出典
NHK『ブラッサム』公式トピックス「【新キャスト】画家・夏井銀児役に錦戸亮さん」
東京文化財研究所 東文研アーカイブデータベース「東郷青児」
SOMPO美術館「東郷青児」
岩国市「宇野千代 -岩国の旅-」
国立国会図書館「近代日本人の肖像」
新潮社『色ざんげ』
※本記事は公表情報をもとに作成しています。内容に誤り等があればお問い合わせよりご連絡ください。
最終更新:2026年9月28日

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